2016-11-01から1ヶ月間の記事一覧

第9回:「灰色の男たち」への抵抗

3.〈聞く力〉が居場所をつくる 自分のまわりにも(つまり歓待や贈与や分配に溢れていた「貧しい人たち」の社会にも)「灰色の男たちの世界」が侵入してきていることに気がついたモモは、それに対して抵抗を始めます。何をしたのかといえば、友だち一人ひと…

第8回:灰色の男たちの世界

2.時間どろぼうの出現 このように、『モモ』における主題の一つが、モモの〈聞く力〉がつくりだす社会と、灰色の男たちのつくる世界との対比にあることは確かでしょう。では、灰色の男たちが出現させる世界がどのように描かれているのか、モモの世界とはど…

第7回:『モモ』を読む。

1.「モモの世界/灰色の男たちの世界」という対比 では、今回からファンタジー作家のミヒャエル・エンデ*1の『モモ』を読んでいきましょう。 この作品は、子供から大人まで楽しめるもので、読んだことのある人もいるかもしれません。面白い場面がたくさんあ…

第6回:「0円ハウス/0円生活」の普遍性

6.単独性と「住み込み」のフィールドワーク 河川敷を超えてつくられた「コモン=共」を基盤とする鈴木さんの0円生活は、「ホームレス」に一般化できない、鈴木さんだからこその自のやり方だと言ったほうがいいかもしれません(ただし、そのようなやり方は…

第5回:システム依存の都市型生活

5.自分たちで工夫することとモノの「近さ」 国交省による月1度の「撤去」は、河川敷の住民に重労働を課すものですが、同時に、住民の情報交換や物々交換の場として利用されてもいました。そして、それは、鈴木さんにとって、家を「近いもの」にすることでも…

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